全般性不安障害は様々な出来事や活動に対する過剰な不安と心配である。それが6ヶ月以上続いていて本人が押さえようとしても周りの保証によっても解消されないものである。DSMIII-R以降とICD10において独立した診断名として付けられるようになった。小児期の過剰不安障害(DSMIII-R)を含んでいる。
不安の症状として,集中困難やイライラ,落ち着きのなさ,疲れやすさ,体のこわばり,睡眠障害がある。不安と心配の対象はパニック障害における外出や発作,強迫性障害における汚染,社会恐怖における対人場面などに限定されず,多様である。
この精神疾患はうつ病などの気分障害を伴うことがほとんどである。うつ病エピソードの間にのみ限定して全般性不安の症状がある場合は,この診断はつけない。物質関連障害やパニック障害などの他の不安障害と合併することもよくある。
大人と子供の双方に見られる。女性に多い。地域調査では1年有病率は約3%である。精神科外来受診患者の30%がこの診断をもつ。
患者の多数は物心ついてからずっと心配性・神経質だと述べる。小児期・青年期に発症したと考えられることが多いが,20歳以降の例もある。
不安マネージメント訓練や筋弛緩,問題解決訓練などを組み合わせた認知行動療法の有用性を示した臨床試験がある。ベンゾジアゼピン系抗不安薬が不安の軽減に有効だが,長期投与が必要なこと,即効性と離脱やリバウンド(薬物減量後に元の症状がぶり返すこと)が伴うことのために,しばしば依存が起こる。通常,耐性や問題使用に至ることはまれで常用量依存と呼ばれる。三環系抗うつ薬も用いられる。抗うつ薬には依存の問題は起こらない。