2014年11月 ケーススタディCS-7「妄想性パーソナリティー障害に対する行動療法」日本認知・行動療法学会第40回大会抄録集p78-79

【はじめに】一般にパーソナリティー障害は外来患者の20%程度を占めるとされている。広汎性発達障害も含めれば対人関係の取り方に永続的な問題があり、それが他の精神障害の要因になったり、生活の障害の直接原因になったりする場合はもっと多いと思われる。境界性や発達障害の場合は治療者の関心を引くことが多く、治療マニュアルなどが公開されている。一方、パーソナリティーのような社会的交流に関する本人の特性を治療対象にする場合、本人の病理的な行動だけでなく、本人自身の価値観や社会生活環境に治療を合わせることが必要だと思われる。特に妄想性パーソナリティー障害の患者のように、自分が正しいと思いがちな患者に対して、治療者からみた病理面に注目して治療をしようとしても患者がついてくることはないだろう。この発表は患者の価値観を引き出しながら治療をすすめた事例を紹介する。治療者側からみて目立つ患者の病理性に引きずられないようする工夫を共有したい。
【ケース紹介】30代の未婚男性

途中略

【治療結果】結果的に、30分間のカウンセリングを約一年半の間、20回行った。最終的にパートから正社員になり、それまでの母親からの扶養から離れて、自分の保険証を持ち、DVDの整理もしながら、また好きなものも購入できるようになった。
【まとめ】行動療法は本来、患者の行動を精神病理ではなく、生理的な行動と見做すものである。ACTにも病理から離れた、ポジティブ・サイコロジーと呼べる一面がある。病理としてよりも患者のしたいことを中心におくことが、こうしたパーソナリティー障害の治療には重要だと思われた。

2014年11月 ケーススタディCS-7「妄想性パーソナリティー障害に対する行動療法」日本認知・行動療法学会第40回大会抄録集p78-79” への1件のコメント

  1. ご無沙汰しております。
    いつぞやご相談しましたBPDの患者さんの
    その後の経過を含めた
    BPDの統合的な治療の提案というpaperを準備中です。
    可能ならばそのreviewをお願いできたら幸いなのですが。

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